学術誌「ワセダアジアレビュー」最新号にて、”東アジア和解映画祭に向けて – 小木戸利光と和解学の実践” として、ロングインタビューにお答えしています。アーティスト・俳優として、そして、シアターワークの実践家として、私のあらゆる仕事の肝となっている「世界や歴史のなかの声なき声」の存在について、これまでの映画・ドラマ・ドキュメンタリー等の出演作品やシアターワークという教育実践についてお話しながら、つまびらかにしています。読んでいただけましたら、とても嬉しく思います。どうぞ よろしくお願いします。

以下、インタビューより、一部抜粋

”私の仕事は、何かへの反対運動ではありません。私自身のパーソナルな心の動機に結びついているものです。表現者としては、自分の心をオープンにして見せていく感覚が大事だと思っています。自分を良く見せていくということではなく、
自分の心の奥底にあるものを見せていく。自分の心が、なぜこんなにも戦争に、そして、戦争による家族の離散の悲しみに向かうのか。言葉にならない心の奥底にあるものを開いて伝えていくということが大事だと思っています。”

”私は俳優として仕事のオファーを待つというよりは、アーティストとして能動的に表現をしてきたところが大きいということです。自分自身で創造して発信するということです。その意味で、シアターワークは、私自身が作ったメディアとも言えるかもしれません。”

”Theatre=演劇空間のなかで、時間をかけて丁寧に信頼関係を築きながら、お互いに心を開けるような安全なスペースを作り、お互いに心と身体で交流してゆきます。私のワークのなかでは、あらゆる人のことを自分ごととして感じる、捉えるという当事者性を大切にしています。ネットで人の悪口を書く人、電車のなかで隣の人の言動にいらいらしてしまう人、人の性的アイデンティティや男女の差別をする人、人種差別をする人、過度な孤立・孤独感から他者や社会に攻撃的になってしまう人、他者を傷つけたり、殺めたりしてしまった人など、私たちはあらゆる人間の心理のなかに、自分自身を見つけることができるのではないでしょうか。他者の感じ方、捉え方、視点、問題意識、価値観の多様性を身体レベルで理解し、一人称から人間性というものを学んでいきます。”

学術誌「ワセダアジアレビュー」22号
東アジア和解映画祭に向けて – 小木戸利光と和解学の実践
インタビュアー:早稲田大学政治経済学術院教授・浅野豊美
https://www.akashi.co.jp/book/b505302.html

小木戸 利光

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